今回は非鉄大手5社の一角である三井金属鉱業について解説していきます!
非鉄金属業界全体について解説している記事がありますので、そちらを先に読んでいただける幸いです!
→ 非鉄金属業界研究

1.基本情報

社名三井金属鉱業株式会社(MITSUI MINING & SMELTING CO.,LTD.)
[呼称:三井金属/MITSUI KINZOKU]
設立1950年(昭和25年)5月1日
資本金421億2,946万円(2022年3月末)
売上高(連結)6,333億4,600万円(2022年3月期)
(単体)3,398億1,600万円(2022年3月期)
所在地東京都品川区大崎1-11-1
従業員数連結11,881名 単体 2,139名(2022年3月末)
事業内容機能材料・電子材料の製造・販売、非鉄金属製錬、資源開発、貴金属リサイクル、素材関連事業、自動車部品の製造・販売 等
P/L(百万円)2020年度2021年度
売上522,936633,346
売上総利益106,119122,564
営業利益51,08660,737
経常利益51,22665,990
当期純利益46,15452,871
ROE22.50%21.70%
ROA7.50%8.20%
純利益率8.83%8.35%
経常利益率9.80%10.42%
自己資本比率33.42%37.58%
時価総額219,286191,634

三井金属鉱業の基本情報になります。
売上は非鉄大手5社では5番手に位置しています。売上・利益ともに伸びているが、時価総額は下降傾向です。ただ自己資本比率は30%程度と高くはないが、比率は上がってきています。
ROE(自己資本利益率)は21.7%と非常に高く、業界トップの数値です。いかに効率よく株主資本から利益を生み出していることがわかります。

2.事業内容

三井金属鉱業は①金属事業、②機能材料事業、③モビリティ事業の3つから成っている。

①金属事業
亜鉛・鉛事業、銅・貴金属事業、資源事業の3つから成る。
亜鉛・鉛事業及び銅・貴金属事業では精錬・リサイクルを手掛けており、資源事業では新規鉱山開発や鉱山の操業・運営を推進している。

②機能材料事業
精錬された金属を粉末にした高機能粉末や銅を薄く伸ばした銅箔などの機能材料を生産・販売しており、数々のトップシェア商品を生み出している。

③モビリティ事業
二輪車・四輪車などのモビリティに関する製品を扱っている。自動車の電動化や自動運転化に対応するべく、様々なモビリティ製品を展開している。

3.各事業の解説・特徴

三井金属鉱業の3つの事業の特徴や強みについてそれぞれ解説していきたいと思います。

①財務分析

セグメント別売上高(億円)
2020年度2021年度
自動車部品811788
金属1,9362,330
機能材料2,0782,535
その他1,1591,408
セグメント別経常利益(億円)
2020年度2021年度
自動車部品195
金属228354
機能材料265277
その他2631

注目ポイント

・金属・機能材料が稼ぎ柱になっているが自動車とその他事業に関しては利益率が非常に低く、利益は金属・機能材料に大きく依存している
金属
各種金属価格の上昇により、増益。
機能材料
銅箔は半導体向けで需要が伸びたことにより、売上増加。その他排ガス浄化触媒やスパッタリングターゲットなどの需要も堅調に伸びたことにより、総じて増益となった。
自動車部品
半導体をはじめとする部材不足により自動車販売数が減少、それに伴い主要製品のサイドドアクラッチの販売量も減少

金属事業の特徴・強み

亜鉛・鉛事業銅・貴金属事業資源事業の3つから成る
・鉄の寿命や強度を上げる亜鉛は国内シェア42%(1位)、加工が容易で鉛蓄電池になどに使用される鉛は国内シェア36%(2位)を誇る
・銅・貴金属事業ではリサイクル事業も展開しており、100%子会社である三井金属リサイクルという会社が担っている。日本7カ所、中国に1カ所拠点を持ち、各拠点でリサイクルできる原料が異なっており、銅・亜鉛・鉛の精錬と組合わせ生産している
・資源事業では銅鉱山の権益を手放したものの、ペルーで新規鉱山の開発を検討している

機能材料事業の特徴・強み

機能性粉体事業銅箔事業薄膜材料事業セラミックス事業の4つから成る
・機能性粉体事業では各種金属の高機能粉末を生産しており、電子機器や電池材料などに使われている 積層セラミックコンデンサー用の銅粉ガラス基板用の酸化セリウム系研磨剤ハイブリッド車用の電池材料世界トップシェアを誇る
・電子機器に不可欠な回路基板に使われる銅を薄く伸ばした銅箔を扱っており、半導体パッケージ基板向けの極薄銅箔は世界シェア95%と驚異のシェアを誇る
・ディスプレイ、太陽光電池やリチウムイオン二次電池、DVDやハードディスクなどの記録媒体には特徴的な機能を持った薄膜が使われており、現代社会を支えている
・液晶テレビなどの透明電導膜形成に欠かせない材料である液晶ディスプレイ用ITOターゲット材は世界シェア30%をも占める

モビリティ事業の特徴・強み

触媒事業三井金属アクト(100%子会社)に分かれており、三井金属アクトが自動車部品を扱っている
・触媒事業では自動車の排気ガスを浄化する排ガス触媒が主力であり、二輪用触媒は世界シェア50%とトップを誇る
・排出量の多いアジア地域に進出しており、インドと中国に開発センターを、インドネシアとベトナムに触媒工場を建設し、各地域の排ガス規制基準に応えている
・三井金属アクトは2010年7月に分社化し、自動車部品専業メーカーとして事業展開している
・主力製品は自動車のドアやトランクなどに組み込まれ、安全確保のロック機能を実現するドアラッチは世界トップクラスのシェアを持っている

4.福利厚生

福利厚生についてまとめていきます。

年間休日日数124日
有給休暇15〜20日
寮・社宅社宅・独身寮あり
育児産前産後休暇、出産育児一時金、結婚祝金、育児休業、育児休業給付金、子の看護休暇 など
介護介護休業給付金、介護休暇、短時間勤務、フレックス勤務
その他偶者転勤に伴う休職制度、カムバック制度、テレワーク制度

注目ポイント

・各拠点にて社宅・独身寮を完備
・育児休業、介護休業制度あり
・結婚祝金や結婚休暇などライフイベントに即した福利厚生も整っている
・妊娠・出産・育児・介護・配偶者の転勤などのやむを得ない理由で退職した人を対象にした、退職後5年以内に復職できるカムバック制度や配偶者の転勤に伴った退職に対し、休職することができる制度など、ライフワークに即した制度が整っている。なお上記はテレワークを勤務でも困難な場合のみ可能で、テレワークも可能。
・新卒社員には新入社員研修だけでなく、2年次・3年次と若手フォローアップ研修がある、またOJTにて入社後1年間は先輩社員がつき、手厚くサポートしてくれる

5.長期ビジョン・求める人物像

三井金属鉱業の長期ビジョン・求める人物像を紹介します。
またこれらを基に学生がアピールすべき点を解説していきます。

長期ビジョン:「マテリアルの知恵で”未来”に貢献する、事業創発カンパニー」

求める人物像

未来志向
・お客様視点
・グローバル
・協働
・スピード
・やり遂げる

もちまる体験談・ワンポイントアドバイス

三井金属は事業創発カンパニーを目指しており、22年度中計では事業開発室をの発足やM&A投資など積極的な新規事業の創出を図っています。現在は三井金属の利益の大半が金属・機能材料に大きく依存していることや銅鉱山権益の譲渡などが背景にあるでしょう。そのため、求める人材には未来志向「スピード」「やり遂げる」などのワード入っています。学生はコロナウイルスの蔓延という転換期を経験しているため、その転換期で新しい挑戦やその挑戦を成し遂げた経験があると良いでしょう。また採用HPでは社内の雰囲気・社風について「何事も真面目に取り組む姿勢がベースにある」と書いてあるため、学業への取り組み方や成績などでアピールできる部分があれば、より良いと思います。採用HPでは人事部長のメッセージ等も記載されているので志望動機やアピールすべきポイントのヒントになるかも知れません。

6.選考フロー

最後は選考フローについてです。

事務系 : ES・Webテスト→1次面接→2次面接→最終面接
技術系 : ES・Webテスト→1次面接→2次面接→最終面接

もちまる体験談・ワンポイントアドバイス

2次面接以降は学生1:面接官4〜6と少し人数多めなので、予め想定して落ち着いて面接に臨むようにしましょう。

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