今回は非鉄大手5社の一角であるDOWAホールディングスについて解説していきます!
非鉄金属業界全体について解説している記事がありますので、そちらを先に読んでいただける幸いです!
→ 非鉄金属業界研究

1.基本情報

会社名DOWAホールディングス株式会社
創業1884年9月18日
設立1937年3月11日
本社所在地〒101-0021
東京都千代田区外神田四丁目14番1号 秋葉原UDX 22F
代表者代表取締役会長 山田 政雄
代表取締役社長 関口 明
資本金36,437百万円(2022年3月末)
従業員数約7,400名(連結、2022年3月末)
主な事業内容環境・リサイクル事業、製錬事業、電子材料事業、金属加工事業および熱処理事業
P/L(百万円)2020年度2021年度
売上588,003831,794 
売上総利益75,848106,425
営業利益37,45463,824
経常利益37,20076,073
当期純利益25,22456,831 
ROE8.2%16.3%
ROA3.6%7.8%
純利益率4.29%6.83%
経常利益率6.33%9.1%
自己資本比率44.40%47.69%
時価総額274,009333,809 

DOWAホールディングスの基本情報になります。2006年に同和鉱業からDOWAホールディングスを持株会社とし、5つの事業会社(メタルマイン・エコシステム・エレクトロニクス・メタルテック・サーモテック)と2つの事業会社(テクノロジー・マネジメントサービス)に分社化しています。
売上高、利益ともに大幅な伸びを見せており、特に経常利益・純利益ともに2倍以上の伸びになっています。

2.事業内容

DOWAホールディングスは①非鉄金属精錬、②環境・リサイクル、③電子材料、④金属加工、⑤熱処理の5つから成っています。

①非鉄金属製錬(DOWAメタルマイン)
鉱山開発・精錬・貴金属のリサイクルの3つから成る。
DOWAの精錬事業は有価金属を含む一方、不純物も多く含有する黒鉱の精錬から始まり、複雑に入り混じった金属を回収する技術を発展させてきた。DOWAの中核事業。

②環境・リサイクル(DOWAエコシステム)
廃棄物処理、土壌浄化、リサイクルの3本柱。廃棄物処理に関しては国内外で処分場を持っており、日本だけでなく東南アジアにまで裾野を広げている。
また土壌浄化事業においては鉱山開発・精錬事業で培った探鉱技術を応用したりなど、他事業とのシナジーも大きい。

③電子材料(DOWAエレクトロニクス)
半導体、電子材料、機能材料の3つから成る。
製品のライフサイクルが早いエレクトロニクス業界で研究開発、製造、営業が一体となってニーズに応えることにより、DOWAの電材加工製品は多数のトップシェアを誇っている。

④金属加工(DOWAメタルテック)
銅や亜鉛の伸銅品製造、めっき加工、金属セラミックス基板の生産などを生業としており、自動車やスマートフォンなど幅広い製品の重要部品を提供している。

⑤熱処理(DOWAサーモテック)
熱処理設備を製造・メンテナンスする工業炉事業と熱処理加工を施す熱処理事業から成り、主に自動車メーカーや自動車部品メーカー向けに販売している。日系自動車メーカーの海外進出に合わせて、アメリカ、中国、インド、東南アジア等、グローバルに自動車業界を支えている。

3.各事業の解説・特徴

DOWAホールディングスの3つの事業の特徴や強みについてそれぞれ解説していきたいと思います。

①財務分析

セグメント別売上高(億円)
2020年度2021年度
電子材料1,4751,713
金属加工7781,119
精錬2,6804,342
環境・リサイクル694832
熱処理230290
セグメント別経常利益(億円)
2020年度2021年度
電子材料37.065.7
金属加工46.468.2
精錬259.0428.0
環境・リサイクル86.7137.0
熱処理8.230.1

注目ポイント

・電子材料
半導体関連では量産販売を開始した近赤外LED及び受光素子の売上が大きく伸びた。電子材料関連では積層セラミックコンデンサ向けの伝導性アトマイズ粉の販売量増加。為替が円安ドル高になったことも影響し、増益。

・金属加工
自動車向け製品の需要が回復し、売上も堅調に増加。また次世代通信システム(5G)の需要が大きく、販売量が増加した。

・精錬
すずの生産量や自動車排ガス浄化触媒からの金属回収量の増加に加え、金属価格の上昇により、大幅な増益。

・環境リサイクル
廃棄物処理量、溶融・再資源化量、土壌浄化受注量、家電リサイクル量が軒並み増加したことにより、増益。また東南アジアでの廃棄物処理量も堅調に増加した。

・熱処理
金属加工同様自動車向けの需要が回復し、受託加工数量が増加、また新型コロナウイルスの感染拡大により需要が落ち込んでいた工業炉も需要が回復した。

非鉄金属精錬(DOWAメタルマイン)の特徴・強み

・銅・貴金属精錬は100%子会社の小坂精錬株式会社が担っており、リサイクル専用炉であるTSL炉を導入し、多種多様な金属を生産している
・白金族のリサイクルでは田中貴金属工業と共同出資している日本PGMという会社が担っており、白金族リサイクルに特化した独自のROSEプロセスで高効率なリサイクルを実現している
・自動車の排ガス浄化触媒には白金族が含まれており、使用済み触媒の集荷量では国内トップである
秋田製錬所では年間20万トンの電気亜鉛を生産しており、国内トップの生産量を誇る
・現在、海外にて4つの鉱山権益を保有しており、算出金属としては主に銀・亜鉛・銅になる
→アメリカのアラスカ州南東部のパルマーでは2021年に鉱山権益の過半数を取得しており、将来生産される亜鉛精鉱の100%取得できる権利を保有しており、亜鉛の上流から下流までを安定的に手掛ける

環境・リサイクル(DOWAエコシステム)の特徴・強み

廃棄物処理土壌浄化リサイクルの3本柱
・DOWAは産業廃棄物のほぼ全ての種類をカバーしており、許認可取得が難しいダイオキシンや水銀含有物まで処理することができる
廃棄物焼却処理量は国内トップであり、秋田県小坂町にあるグリーンフィル小坂は最終処分場では国内最大規模となっている
・4カ国、6拠点で事業展開しており、東南アジアでの環境汚染対策に注力、インドネシアで唯一の廃棄物処理場を保有している
・土壌浄化事業は調査件数3000件、20年以上にわたる実績とノウハウを有する、調査から浄化までのワンストップソリューションを提供する総合力が強み
・長年培ってきた金属精錬技術を基に、多種多様な金属をリサイクルできる技術・ノウハウを確立させている
・現在22種の元素をリサイクルから回収可能になっており、回収可能種類は世界トップである

電子材料(DOWAエレクトロニクス)の特徴・強み

半導体電子材料機能材料の3つから成る
・半導体関連では高純度ガリウム、ガリウムヒ素基板、LEDが主力製品であり、特に高純度ガリウムは世界トップシェアを誇っている
・電子材料関連では導電材料と電池材料を取り扱っており、太陽電池の電極などに使われる銀粉は世界トップシェアを誇る
・機能性材料関連では金属を粉末状にしたメタル粉を取り扱っており、データ保存に欠かせない磁気記録材料は世界シェアの90%を誇る

金属加工(DOWAメタルテック)の特徴・強み

・銅や亜鉛の伸銅品製造めっき加工金属セラミックス基板の生産を手がける
・伸銅品については高機能・多機能化が加速する自動車や情報機器向けにコネクタやリードフレームなどを提供しており、特に車載用銅合金は国内トップシェアを誇る
・めっき加工についても車載部品向けを中心に貴金属をはじめとした多種多様なめっき加工を施すことにより、耐久性・信頼性を向上させ、世界中のニーズに応えている
・アジア(中国、タイ、台湾)に加工拠点及び営業拠点を設立し、供給網の強化、国際的競争力の強化を図っている

熱処理(DOWAサーモテック)の特徴・強み

熱処理設備を製造メンテナンスする工業炉事業熱処理加工を施す熱処理事業から成り、主に自動車メーカーや自動車部品メーカー向けに販売している
・工業炉は国内で3500基以上納入した実績を持ち、特に浸炭熱処理設備については国内トップシェアを誇っている
・熱処理事業については製品寿命を大きく伸ばす特殊表面処理や、部品の小型軽量化を可能にした金属表面加工など多種多様な技術でニーズに応えている
・日本の自動車・自動車部品メーカーの海外進出に伴ってアジアやアメリカ地域など世界各国に進出し、インド地域では唯一の日系事業者として進出している

4.福利厚生

福利厚生についてまとめていきます。

年間休日日数123日
有給休暇22日~22日
寮・社宅各地に社宅・独身寮を完備、一部借上社宅制度あり
育児出産休暇、育児休暇、出産育児一時金、育児費用補助
介護介護休業、介護休業手当て など
その他リフレッシュ休暇、福利厚生ポイント制度

注目ポイント

・出産・育児にあたっては法定の制度に加え、育児給付金や時短勤務など幅広くサポートしている
・休暇は有給休暇に加え、合計7日間の休暇が取れる結婚休暇や勤続10年ごとに付与されるリフレッシュ休暇もあり、ライフイベントに合わせた制度を完備している
・DOWAではダイバーシティを推進しており、ダイバーシティマネジメントやキャリア研修を開催しており、2019年度時点で入社3年後の女性の定着率は92%と高い水準になっている
・各地に社宅・独身寮を完備、借上社宅制度もあり
・「入社3年で一人前に」をモットーに掲げており、入社後3年間は集中育成機関と位置づけられており、OJTや研修など手厚くフォローされる

5.長期ビジョン・求める人物像

DOWAホールディングスの長期ビジョン・求める人物像を紹介します。
またこれらを基に学生がアピールすべき点を解説していきます。

長期ビジョン:「本業とする資源循環と優れた素材・技術の提供を進化させ、安心な未来づくりに貢献し続ける」

求める人物像

・多様性を受け入れる柔軟さと、変化を楽しめる人材
自立型人材

もちまる体験談・ワンポイントアドバイス

DOWAホールディングスは2024年中期経営計画にて重点施策として自動車や情報通信、医療ヘルスケアなどの成長市場向けの製品サービスの拡充、新規事業・技術開発支援の強化を上げています。またDOWAは黒鉱の精錬から多角化し、現在に至っており、新規事業への参入事業環境の変化に絶えず応えてきた企業です。そのため、求める人材としては目まぐるしい変化を受け入れ、その変化を楽しむことができる人材を欲しています。学生は挑戦や変化を乗り越えた経験や異文化交流の経験などのエピソードでアピールすると良いでしょう。直近の大きな変化といえば、新型コロナウイルスの蔓延が挙げられますが、そのライフスタイルの大きな変化をどう受け入れ、自分なりに楽しんだのかなど、話せると良いかもしれません。
採用HPには人事部長の学生へのメッセージが掲載されているので、最低限目を通しておきましょう。また自立型人材社員の意思を尊重するような風土であるため、DOWAに入って成し遂げたいことやビジョンをできる限り、具体的にしておきましょう。実際採用HPでは「社員の配属配置は基本本人のやりたいこと・できること」と「事業会社のやってほしいこと」のマッチングと謳われています。

6.選考フロー

最後は選考フローについてです。

事務系 : ES・Webテスト→1次面接→2次面接→最終面接
技術系 : ES・Webテスト→1次面接→2次面接→最終面接

もちまる体験談・ワンポイントアドバイス

インターン参加者は書類選考・1次面接が免除されるため、インターン参加がオススメです。また人物重視の採用で、パーソナルな部分を聞かれることもあるため、無理に取り繕わず、率直に答えることを心がけましょう。

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